Simple Scheme で電卓をつくってみる(3.5)

見た目ばかりいじってないでそろそろ電卓の計算機構を作りましょうね。

入力した数値や計算結果の保持方法を考えましょう。

桁数固定で小数点が移動するので10進の浮動小数点数がよいような気がしますが少しだけ違うのですね。
例えば1.111111と0.1111111という2つの数値は10進法の浮動小数点数では共に7桁の精度を持ちます。
しかし電卓では前者は7桁で後者は8桁です。
8桁電卓で、前者はさらにもう1桁精度を上げられるのに対して、後者はこれ以上精度を上げることができません。

というわけで、入力した数値や計算結果は、浮動小数点数のように指数部と仮数部に分けるのではなく、整数部分と小数部分に分けてみることにしましょう。そしてそれぞれの部分を、各桁に現れる数のリストで表します。例えば0.1111111は(0)と(1 1 1 1 1 1 1)という2つのリストで表します。

そうすると2つのリストの長さの和で精度を表すことができます。

計算するときはdouble型に変換するとSimple Schemeの算術関数がそのまま使えて便利です。しかしdouble型は10進法ではないので*1次のように変換時に誤差が生じることがあります。

(define-struct num (i f))
(define (num->double x)
  (let ((i (foldr (lambda (a d) (+ (* d 10) a)) 0 (num-i x)))
    (f (/ (foldr (lambda (a d) (+ (/ d 10.0) a)) 0 (num-f x)) 10.0)))
    (+ i f)))
(num->double (make-num '(2) '(7 1 8 2 8 1 8)))

f:id:brv00:20191031214910j:plain:w250

かといって整数型に変換すると桁溢れが心配です*2。というわけで、実際の計算は多倍長計算で行うことにします。*3

続きます。

*1:10の倍数進法ではないので

*2:8桁なら大丈夫ですが12桁くらいはできるようにしたい。

*3:まともな多倍長計算だと割り算が複雑になりますが、8~12桁程度なら簡単な方法があります。平方根このやり方の予定ですが少し複雑ですね。

Simple Scheme で電卓をつくってみる(3)

Simple Schemeで電卓を作っています。前回までで、ボタンを押したら反応するようになりました

今度はボタンごとに異なる反応を返すようにしてみましょう。

押したボタンの上に、ボタンの文字と同じ色の円盤を重ね、その上に白抜きでボタンの文字を拡大表示します。

そのためには、どのボタンが押されたかを、タップされた位置の座標から求めなければなりません。
ボタンの文字については、文字のリストがすでにあるので、画面上の座標をキーボード上の座標に変換して、さらに添字に変換すれば求められます。

(define button-labels
  '("%"  "7" "8" "9" "÷" "MR"
    "√"  "4" "5" "6" "×" "M-"
    "C"  "1" "2" "3" "-" "M+"
    "AC" "0" "." "=" "+"))

(list-ref button-labels (+ (iconv-x x) (* 6 (iconv-y y))) ;(x,y)の位置にあるボタンのラベルをこれで取得できる

文字以外の情報(サイズと色)を含めたレコード型を定義してそのリストを作りましょう。

(define-struct button (label size color))
(define buttons
  (letrec ((find (lambda (lis b)
                   (let ((bc (car lis)))
                     (if (ormap (lambda (l) (string=? b l))
                                (button-category-labels bc))
                         (make-button b (button-category-size bc)
                                      (button-category-color bc))
                         (find (cdr lis) b))))))
    (map (lambda (l) (find button-categories l)) button-labels)))

これでタップされた位置のボタンの、文字以外の情報も取得できるようになりました。

(big-bang keyboard
          (on-draw (lambda (b) b))
          (on-mouse
           (lambda (_ x y what)
             (if (string=? what "button-down")
                 (let ((x (iconv-x x)) (y (iconv-y y)))
                   (let ((i (+ x (* 6 y))))
                     (if (and (<= 0 x) (< x 6) (<= 0 i) (< i 23))
                         (let ((b (list-ref buttons i))
                               (x (conv-x x)) (y (conv-y y)))
                           (place-image
                            (text (button-label b) (/ (* 4 (button-size b)) 3)
                                  "white")
                            x y
                            (place-image (circle 100 "solid" (button-color b)) x y
                                         keyboard)))
                         keyboard)))
                 keyboard))))

*1

続きます。

(ここまでのコード)*2*3*4

*1:Schemeなのでこのようにできそうですができませんでした。Simple Schemeでは<の3つめ以降の引数は無視されるようです。そのためキーボードよりも下の部分をタップしたときもbuttonsにアクセスしようとするのですが、範囲外なので強制終了してしまいます。
また、添字だけで範囲を指定するのは処理系に関係なく普通に間違いです。例えば(-1,2)の位置にM-があるとみなされたりするので。

*2:マジックナンバーが多いのなんとかしたほうがいいかな?

*3:キーボードのイメージを生成するコードもbuttonsを使って少し変えました

*4:以前と同じ英語の間違いをしていたので修正しました。

Simple Scheme で電卓をつくってみる(2)

Simple Schemeで電卓を作っています。前回はキーボードの画像を表示するところまで作りました

続いて、ボタンをタップしたらとりあえずなにか反応を返すようにしてみましょう。

タップされたボタンの位置に黒い円盤を表示させます。

前回は画像の表示にshow-imageを使いましたが、show-imageでは画像を表示することしかできません。画面のタップに反応させるにはbig-bangを使います。

big-bangの詳しい使い方はリンク先に書いてあります*1

というわけでshow-imageによる描画の部分を以下のコードに置き替えます。

(big-bang keyboard
          (on-draw (lambda (b) b))
          (on-mouse
           (lambda (b x y what)
             (if (string=? what "button-down")
                 (place-image (circle 80 "solid" "black")
                              (conv-x (inv-x x)) (conv-y (inv-y y))
                              keyboard)
                 keyboard))))

画面に指を置くと、on-mouseに渡された関数の中でキーボードに円盤を重ねた画像が生成されます。

その画像がon-drawに渡された関数に渡され、画面に描画されるというのが基本的な流れです。

画面に指を置く以外の操作(画面から指を離す等)をするとon-mouseに渡された関数がキーボードだけの画像を生成し、この画像がon-drawに渡された関数によって描画され、円盤が消えます(消えたように見えます)。

*2

(ボタンのない場所をタップしても円盤が表示されますが、これへの対処は、具体的な機能を入れる際にどうせしないといけないので、後回しにします)

on-mouseに渡された関数内のinv-xinv-yは次のように定義されています。

(define (inv-x x) (round (- (/ (* 7.0 x) width) 1)))
(define (inv-y y) (round (- (/ (* 7.0 y) width) 2)))

conv-xconv-y逆関数ですね。

(define (conv-x x) (/ (* width (+ 1 x)) 7))
(define (conv-y y) (/ (* width (+ 2 y)) 7))

タップした場所を中心とする円ではなく、タップした場所にあるボタンの真ん中辺りを中心とする円を描画するために、これらの関数を使って、座標を離散化しているわけです。

続きます。

(ここまでのコード)

*1:ただし、リンク先で
mouse-func should be of type: World Number Number String -> Scene
となっている部分は恐らく
mouse-func should be of type: World Number Number String -> World
の誤記です。

*2:はてなは動画を直接埋め込めないのでツイッターに投稿したのを貼っています。

Simple Scheme で電卓をつくってみる

Simple Schemeで電卓を作ります。関数電卓とかスマホに最初から入ってるようなのとかじゃなくて、普通のやつ(「普通電卓」というのですね。それを作ります )。

最初にキーボードのイメージを作りましょう。

まずはボタンのリストです*1

(define button-labels
  '("%"  "7" "8" "9" "÷" "MR"
    "√"  "4" "5" "6" "×" "M-"
    "C"  "1" "2" "3" "-" "M+"
    "AC" "0" "." "=" "+"))

実際のボタン配置(予定)と似た見た目になるように改行してあります。

画面上の配置位置を決めるために、画面の幅を取得しましょう。

(define width (image-width (empty-scene)))

横に6つ並べるので、画面左端のx座標を-1、右端のx座標を6としたときにx座標が0,1,2,3,4,5となるような位置にボタンを置くのがよさそうです。

この座標を画面上の実際の座標に変換する関数を定義しましょう。y座標は、ボタン同士の上下の距離が左右と同じになるように設定し、ウインドウの場所を空けるために少し下げます。

(define (conv-x x) (/ (* width (+ 1 x)) 7))
(define (conv-y y) (/ (* width (+ 2 y)) 7))

place-imageで左上のボタンから順に配置していきます。

(define (place-buttons x y button-labels scn)
  (if (null? button-labels)
      scn
      (let ((scn (place-image (text (car button-labels) 80 "black")
                              (conv-x x) (conv-y y) scn)))
        (if (>= x 5)
            (place-buttons 0 (++ y) (cdr button-labels) scn)
            (place-buttons (++ x) y (cdr button-labels) scn)))))

(define keyboard (place-buttons 0 0 button-labels (empty-scene)))

表示してみましょう。

(show-image keyboard)

f:id:brv00:20191027101208j:plain:w250

下の空白は、タップしたボタンのログを表示させたいので、そのためのスペースです。

ACやMRが少し大きく見えるので調整して、ついでに色分けしましょう。 place-buttonsの定義を以下の定義群と置き替えます。

(define-struct button-category (labels size color))
(define button-categories
  (list
   (make-button-category '("0" "1" "2" "3" "4" "5" "6" "7" "8" "9" ".") 80 "gray")
   (make-button-category '("+" "-" "×" "÷" "=" "%" "√")                 70 "black")
   (make-button-category '("MR" "M+" "M-")                              60 "blue")
   (make-button-category '("AC" "C")                                    60 "red")))

(define (place-buttons x y button-labels scn)
  (if (null? button-labels)
      scn
      (let* ((b (car button-labels))
             (bc (letrec ((find (lambda (lis)
                                  (if (ormap (lambda (l) (string=? b l))
                                             (button-category-labels (car lis)))
                                      (car lis)
                                      (find (cdr lis))))))
                   (find button-categories)))
             (scn (place-image (text b (button-category-size bc)
                                     (button-category-color bc))
                               (conv-x x) (conv-y y) scn)))
        (if (>= x 5)
            (place-buttons 0 (++ y) (cdr button-labels) scn)
            (place-buttons (++ x) y (cdr button-labels) scn)))))

f:id:brv00:20191027111144j:plain:w250

キーボードのイメージはとりあえずこれで行こうと思いますが、もしかしたら途中で変えるかもしれません。

続きます。

(ここまでのソースコード)

*1:機能の確認がしやすいように家にある電卓(カシオのSL-720L)と同じにしました。

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(3) — 多値と apply —

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(2) — call/cc —」の続きです。

継続に多値を渡せるようにしましょう。

このインタプリタは渡されたコードを継続渡し形式の手続きに変換しながら処理します。
継続渡し形式の手続きや継続は、末尾呼び出しで呼び出される必要があります。
従ってこのインタプリタを JScheme で動かす場合、継続に渡される引数の個数は一定でなければなりません。いくつ渡されても対応できるようにしようとすると apply を使うしかなく、JScheme の apply は手続きに対して末尾呼び出しでない呼び出しをするからです。

というわけで手続きに値を渡すときは直接渡すのでなく、渡す値を格納したリストを渡すことにしました。こうすれば0個や2個以上の値を渡すときもインタプリタ内部で渡される引数の個数は常に1個です。

もともと手続きを呼び出すときは手続きの値と手続きに渡される値のリストを作るようになっていました。
そこから値を取り出したり apply を使ったりして呼び出していたわけですがとりあえず手続きに渡される値のリストはすでにあるわけでこのリストを値を取り出したり apply を使ったりせずにそのまま渡すようにしました(68、69行目)。

そして値を受け取る側はリストを受け取るように書き換えています。

  • 通常の手続きはもとは引数を (lambda vars ...) という形式で受け取ってリストにしていたのですが、この変更によって最初からリストが渡されるようになったので (lambda (vars) ...) という形式に書き換えました(3行目と33行目)。
  • 継続は引数がリストになっているので値を car で取り出すようにしました(23、53、76行目)*1*2
  • 継続を呼び出す場所はほかにもあります。すべてリストに入れてから呼び出すように変更しました。

これで apply と values と call-with-values が実装できるようになりました。
82行目以降に実装があります。そしてバグがあります(ぉぃ

call-with-current-continuation を上のように実装した場合、手続きを呼び出す処理は通常の手続きと継続とで変えなければなりません。なので apply や call-with-values で手続きを実際に呼び出す部分では、67行目と同じように、条件分岐して継続にも対応する必要があります。が、コードを書いた時点ではそのことに気づかなかったので通常の手続きに対する処理しかありません*3

というわけで、apply や call-with-values に call/cc で取得した継続を渡すことはこの時点ではまだできませんでした(最新版ではできますがしばらくできないバージョンが続いています)。

それはともかく多値を扱えるようになったので、TSPL*4Exercise 3.3.1 の解答の2つめに似た*5コードが動きます*6。(解答のページ

(interpret
 '(call-with-values
    (lambda () (call/cc (lambda (k) (values k 0))))
    (lambda (k n)
      (display n)
      (display #\space)
      (k k (+ 1 n)))))
Aborted evaluation
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 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1421 1422 1423 1424 1425 1426 1427 1428 1429 1430 1431 1432 1433 1434 1435 1436 1437 1438 1439 1440 1441 1442 1443 1444 1445 1446 1447 1448 1449 1450 1451 1452 1453 1454 1455 1456 1457 1458 1459 1460 1461 1462 1463 1464 1465 1466 1467 1468 1469 1470 1471 1472 1473 1474 1475 1476 1477 1478 1479 1480 1481 1482 1483 1484 1485 1486 1487 1488 1489 1490 1491 1492 1493 1494
JschemeThrowable:[[#null,Execution was interrupted.]]

続きます。

*1:手続き呼び出しの処理でリストを作るとき(76行目)に elt に対して car ではなく unquote-splicing を適用すると call-with-values を使わずに多値をやり取りできるようになりますが話がややこしくなりそうです

*2:75行目の (lambda (elts) ...) およびこれを呼び出す処理は変更する必要はなかったのですが、これを書いたときはあまり深く考えずに変更しました。

*3:最新版では call-with-current-continuation の実装が、取得した継続を呼び出すときに他の手続きとの区別が不要になるようになっています。その少し前のバージョンでは呼び出しを処理する専用の手続きを定義してその中で場合分けしています(その前に1回他の手続きと同じに扱える実装になってるんですけどこのときはなぜかこれじゃだめだと思ったみたい)。

*4:と略すっぽい。

*5:write を %primitive-environment に入れてないせいで同じにはできないです(map する前のリストに write を追加するだけでできるようになります)。newline はありますが結果を貼り付けるときに場所をとるのでスペースに変えました。

*6:Schemoidインタプリタソースコードを事前にコピペして Eval してから、解答を実行例のように書き換えたものを Eval して適当なタイミングでアプリ画面右上の ⋮ をタップして Abort evaluation を選択。

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(2) — call/cc —

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(1)」の続きです。

https://gist.github.com/brv00/bee4093b023448fcd8505583c40f3cf2/0c7509bb4bc14f245eb2deb39568402b5cc9005d の call/cc が失敗する例を挙げておきましょう。0を無限に印字する(はずの)プログラムです。 (https://gist.githubusercontent.com/brv00/bee4093b023448fcd8505583c40f3cf2/raw/0c7509bb4bc14f245eb2deb39568402b5cc9005d/meta-circular-interpreter.scm をダウンロードして Scheme Droid で実行しました)

> (load "/storage/emulated/0/Download/meta-circular-interpreter.scm")
#t
> (interpret
 '((lambda (next)
     (display 0)
     (next next))
   (call/cc (lambda (k) k))))
000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000Critical Error: java.lang.StackOverflowError: stack size 1037KB

StackOverflow の原因は、(next next) が、インタプリタ内部で末尾呼び出しでない呼び出しでスタックを消費しながら処理されていることです。

手続き呼び出しを表すS式を exec に渡すと再帰的に各部分式が exec に渡され解析*1され、次のような、継続渡し形式の手続きが返されます。

(lambda (cont)
  (let recur ((pass-elts pass-elts)
              (cont (lambda (elts) ((apply (car elts) (cdr elts)) cont))))
    (if (null? pass-elts)
      (cont '())
      ((car pass-elts)
       (lambda (elt)
         (recur (cdr pass-elts) (lambda (elts) (cont `(,elt . ,elts)))))))))

この手続きは以下のような処理を行います。

  1. 部分式を評価して得られる値のリストを作る。
  2. 先頭要素を手続きとして、残りの部分を引数として呼び出す。
  3. 呼び出して返ってきた値は継続渡し形式の手続きなので、これに継続を渡して呼び出す。

(next next) では3番目の処理の前提が成り立っていません。

2と3の処理は (lambda (elts) ((apply (car elts) (cdr elts)) cont)) の中で実行されます。(car elts) が通常の手続きの場合 (apply (car elts) (cdr elts)) という呼び出しからすぐに呼び出し元に復帰し、そのときに継続渡し形式の手続きを返すようになっています(例えば display はこのように定義されています*2)。この手続きに継続が渡されて実際の処理が行われるわけです。
従って通常の手続きは実際の処理を行うときは末尾呼び出しになるため、この時点ではスタックを消費していません。

(car elts) が継続の場合はこのような仕組みがなく直接処理するため (apply (car elts) (cdr elts)) の呼び出し中に実際の処理が行われます。つまり実際の処理中にスタックを消費しているわけです。
例えば elts が上のサンプルの (next next) から作られたリストの場合、(apply (car elts) (cdr elts)) の実行中に、つまりスタックを消費している状態で、(lambda (next) (display 0) (next next))(という式を評価して得られる手続き)が呼ばれます。
この手続きは呼び出されると継続渡し形式の手続きを返すのでスタックを消費しません。しかしその中で呼ばれる next はスタックを消費します。この next 呼び出しの時点で、以前の next の呼び出しからは復帰していません。よってこの繰り返しでスタックが足りなくなって、上のサンプルコードは停止してしまうのです。

この問題を解決する方法はいくつかあります。

例えば継続には継続であることを示すタグを付けて、継続かそうでないかで呼び出し後の処理を変えるという方法が考えられます。

ほかに、call/cc 内で*3 f に継続を渡す際に、次のように継続渡し形式の手続きを返す手続きでラップする方法もあります。

(lambda (f)
  (lambda (cont-of-call/cc)
    ((f (lambda (x) (lambda (cont-of-continuation) (cont-of-call/cc x))))
     cont-of-call/cc)))

2つめの方法は、継続と他の手続きを呼び出し時に同じように扱えるので、機能の追加が楽であるという利点があります。
しかし、この方法を思いついたのはつい最近のことなのでしばらくは1つめの方法で実装したバージョンが続きます*4

  • JScheme では (apply proc ...) が proc の末尾呼び出しにならないので継続には値が1つしか渡せません*5
  • interpret 内で渡される継続を values に戻しました。
  • exec を analyze という名前に変えました。
  • 手続きの定義を "defun" syntax for define に書き換えました。
  • プリミティブな手続きをインタプリタ用へと変換する方法は基本的にどれも同じなので手続き化しました。
  • map と apply は同じではないのでとりあえず消しました。
  • read も消しました。同じはずなのに動かなかったので。今考えてみたら open-input-file が無いのが動かない原因でした。
  • if シンタックスの処理を、継続渡し形式の手続きを返すように書き換えました(2019年 2/25 追記)。
  • assign を、継続渡し形式の手続きを返すように書き換えました(2019年 2/28 追記)。

今度はちゃんと0が無限に印字されるようです*6

(interpret
 '((lambda (next)
     (display 0)
     (next next))
   (call/cc (lambda (k) k))))
Aborted evaluation
0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
JschemeThrowable:[[#null,Execution was interrupted.]]

interpret で渡す継続を values に戻しましたが (interpret '(((call/cc (lambda (k) k)) (lambda (x) x)) "HEY!")) も問題なく動きます。

> (interpret
  '(((call/cc (lambda (k) k))
     (lambda (x) x))
    "HEY!"))
"HEY!"

values のままだと (interpret '(((call/cc (lambda (k) k)) (lambda (x) x)) "HEY!")) に対して…エラーが通知され」ていたのは、継続が "HEY!" を返したあとその "HEY!" に継続を渡して呼びだそうとしていたからです。
"HEY!" は文字列であって手続きではないので呼び出すことはできません。
新しいインタプリタでは継続から返ってきた値を手続きとして呼び出す処理がなくなっているため正しく動いたのです。

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(3) — 多値と apply —」に続きます。

*1:名前を変えてないから解析なのに exec 。

*2:まだ書き換えていない手続きもありますけど。

*3:正確には「call/cc がバインドしている手続きが返す継続渡し形式の手続き内で」ですが。

*4:最新版は2つめの方法になっています。

*5:次のバージョンでは多値を渡せるようになっていますが。

*6:Scheme Droid は割り込み機能がないので Schemoid で実行しました。Schemoid はファイルが開けないので全部コピペして実行しなければなりません。実行結果をここに貼り付けるときにインタプリタ部分は省略しました。

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(1)

JScheme には継続を取得する仕組みがありません。そこで継続が取得できるメタ循環インタプリタを(JScheme で)書くことにしました。

0 から作るのは大変な気がするので『The Scheme Programming Language』の Extended Examples の Section 7. A Meta-Circular Interpreter for Scheme*1 に載っているコードを書き換えていくことにします。

とりあえず式 3'(cons 'a 'b)*2継続渡し形式で処理するように書き換えたのが以下のコードです。exec はもとのプログラムでは式を評価した結果をそのまま返していますが、書き換えたあとのプログラムでは、これらの式に対しては、式を評価した結果を伴って引数を呼び出す手続きを返します*3

exec に 3 と primitive-environment を渡すと、3を伴って cont を呼び出す継続渡し形式の手続き (lambda (cont) (cont 3)) が返ってきます。
また、'(cons 'a 'b) と primitive-environment を渡すと以下のような継続渡し形式の手続きが返ってきます。

(lambda (cont4)
  ((lambda (cont0) (cont0 b))
   (lambda (elt0)
     ((lambda (cont1) (cont1 a))
      (lambda (elt1)
        ((lambda (cont2)
           (cont2 (lambda (a d) (lambda (cont3) (cont3 (cons a d))))))
         (lambda (elt2) ((apply elt2 (elt1 elt0)) cont4))))))))

*4

(cons 'a 'b) には4つの継続が存在します。継続渡し形式ではそれらが手続きの形で表されます。

  • 'b という式を評価した結果は b というシンボルであり、cont0 に渡され、elt0 がバインドします。elt0 を引数としている lambda式が 'b の継続です。
  • 'a という式を評価した結果は a というシンボルであり、cont1 に渡され、elt1 がバインドします。elt1 を引数としている lambda式が 'a の継続です。
  • cons という式を評価した結果は (lambda (a d) (lambda (cont3) (cont3 (cons a d)))) という手続きであり、cont2 に渡され、elt2 がバインドします。elt2 を引数としている lambda式が cons の継続です。

cons を評価した結果に含まれる cons はメタ循環インタプリタの cons ではなく JScheme の cons です*5

  • 式全体、つまり (cons 'a 'b) という式を評価した結果は (a . b) というペアであり、cont3 に渡されます。cont3 は cont4 にバインドしているので、cont4 がバインドする手続きが式全体の継続ということになります(interpret 内で渡されている values がその手続きです)。

メタ循環インタプリタ上の cons の実装は (lambda (a d) (lambda (cont) (cont (cons a d)))) です。cont は、cons 呼び出し時の継続にバインドします。

同じように、call/cc を (lambda (f) (lambda (cont) ...)) のように実装した場合、cont は、call/cc 呼び出し時の継続にバインドします。従って、... の部分では f に cont を渡して、その結果を cont に渡せばよいことになります。このメタ循環インタプリタの内部では、((g x) h) と書けば((g x) が JScheme の手続きを直接呼び出している場合以外は)(g x) の結果が h に渡されるので、... の部分は ((f cont) cont) とすればよさそうです。

実際にそのとおりに書いてみました。以下のコードでは、もとのインタプリタの実行例の3つめと4つめが動くようになっています。3つめと4つめはそれぞれ '((lambda (x . y) (list x y)) 'a 'b 'c 'd)'(((call/cc (lambda (k) k)) (lambda (x) x)) "HEY!") ですね。つまり、call/cc 以外にも lambda式とlist手続きの呼び出しが interpret できるようになっているわけですね。

もとのインタプリタの実行例では lambda式が call/cc より先に出てきていたので、上に書いたように lambda式も継続渡し形式に変換するように書き換えています*6。例えば (lambda () e0 e1 e2) のような式を exec に渡すと次のような手続きが返ってきます*7

(lambda (cont)
  (cont (lambda ()
          (lambda (cont2)
            ((lambda (cont1)
               ((exec e0 env)
                (lambda (_) ((exec e1 env) cont1))))
             (lambda (_) ((exec e2 env) cont2)))))))

e0 を評価した結果は (lambda (_) ((exec e1 env) cont1)) に渡され、e1 を評価した結果は cont1 即ち (lambda (_) ((exec e2 env) cont2)) に渡され、e2 を評価した結果は cont2に渡される— (lambda () e0 e1 e2)呼び出したときに受け取る手続きに渡されるので、ちゃんと継続渡し形式になっていますね。

ほかには interpret で values を渡していたのを call/cc を使う方法に書き換えました*8。values のままだと (interpret '(((call/cc (lambda (k) k)) (lambda (x) x)) "HEY!")) に対して

> (load "/storage/emulated/0/Download/meta-circular-interpreter.scm")
#t
> (interpret
  '(((call/cc (lambda (k) k))
     (lambda (x) x))
    "HEY!"))
expected object of type procedure, but got: 

というエラーが通知されます*9*10。しかし、values には ちゃんと "HEY!" が渡されているようではありました*11。エラーが起こるのはそのあとということになるので、interpret で渡される継続に値が渡されたときに強引に終わらせることにしました。

> (load "/storage/emulated/0/Download/meta-circular-interpreter.scm")
#t
> (interpret
  '(((call/cc (lambda (k) k))
     (lambda (x) x))
    "HEY!"))
"HEY!"

これで call/cc が一応動くようになりました*12。この方法ではうまく動かない場合があります(長くなるのであと回し)。

call/cc が上のエラーが出てまったく動かなくて色々試したときに、手続き呼び出しの部分SICP の analyze-application と同じ方法に書き換えました。これは別にもとのままでも問題ありません*13

Scheme のメタ循環インタプリタに関する備忘録(2) — call/cc —」に続きます。

*1:章番号は版によって違うので省略しています(リンク先では12章ですが、初版の日本語版では9章です)。

*2:この2つの式はもとのインタプリタの実行例の最初の2つ…と思って今見たら2つめは '(cons 3 4) でした。

*3:interpret も exec がそういう処理をしたときに正しく動くように書き換えたので、定数と変数とクォートされた式と cons の呼び出し以外ではもう正しく動きません。

*4:この式は、exec が手続きそのものではなく手続きを表すs式を返すようにプログラムに quote や quasiquote、unquote を適宜書き加えたものを実行し、得られた式を整形したり名前が被ってる変数をリネームしたりしたものです。継続に渡される bとa、及び リスト (elt1 elt0) を適切にクォートすれば普通に動きます。

*5:JScheme でなくても動くはずなので、メタ循環インタプリタを動かしてる Scheme 処理系の cons と言ったほうがいいかもしれませんが。

*6:というか call/cc より先に書き換えました。ここの各実行例が必要とする機能を実行例の並んでいる順に追加していっているわけです。

*7:ここでは e0、e1、e2 は変数というわけではなく一般的な scheme の式を表しています。なので、式や返ってきた手続きは擬似的なものという扱いです。

*8:JScheme では call/cc は大域脱出にしか使えませんがここではそういう使い方をしているので問題ありません。

*9:この実行例は、このメタ循環インタプリタのコードがスマホ本体に残ってないので、https://gist.githubusercontent.com/brv00/bee4093b023448fcd8505583c40f3cf2/raw/0c7509bb4bc14f245eb2deb39568402b5cc9005d/meta-circular-interpreter.scm をダウンロードしたあと、interpret だけ前のバージョンのものに差し替えて Scheme Droid で実行したものです(だから Download フォルダに入っている)。

*10:but got: 何?

*11:printf デバッグしまくりました。

*12:こっちは差し替えずに実行。

*13:部分式を評価する順序が変わります。